生活習慣病について


生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣の乱れが、その発症・進行に関わる疾患の総称です。食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足、喫煙、過労によるストレスなど好ましくない生活習慣を続けていると、2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病を発症し、そのまま放置すると動脈硬化を引き起こします。

 

生活習慣病の初期には自覚症状がないため、気づかないうちに動脈硬化が進行してしまう可能性があります。 

 

動脈硬化が進行すると、日本人の三大死因の二位、三位を占める心疾患(狭心症や心筋梗塞ななど)や脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)を起こすリスクが高まります。健康寿命を脅かす重大な心疾患・脳血管疾患を予防するために、各種学会からガイドラインが提示され、血糖値・血圧・コレステロール値などの目標値に沿った投薬治療が行われています。

 

生活習慣を改善することで得られるメリット ~減薬のすすめ~

 

当院に来院される患者さんのお薬手帳を拝見すると、10種類以上の薬を飲み続けている患者さんがいらっしゃいます。治療のために継続しなければならない薬もありますが、「くすりはリスク」とも言われ、それぞれは有効な薬でも薬の服用数が増えるほど副作用のリスクも増加します。できれば、必要のない薬は適宜中止していくのが理想的です。服用薬を減らすためには、少しずつでも日々の生活習慣を見直し、改善し、それを継続することが肝要です。

 

「一無、二少、三多」の6つの健康習慣

 

日本生活習慣病予防協会の名誉会長である池田義雄先生が1991年に提唱した「一無、二少、三多」の6つの健康習慣がシンプルでわかりやすいのでご紹介します。

  • 一無:喫煙をしない。無煙の生活をしている。
  • 少食:腹八分。バランスを心がけている。
  • 少酒:飲める人でも飲酒は少なめにする。
  • 多動:身体を活発に動かす。
  • 多休:休息・休養・睡眠を多くとる。
  • 多接:多くのひと、事、物に接し、創造的な生活を心がける。

胃腸科の医師としては、「少食」のバランスのとれた食事と「多動」の適度な身体活動はいわゆる「腸活:より良い腸内環境を整えるための活動」に結びつくものであり、特に推奨したいと思います。

日々の生活習慣を修正していくことは、心身をともに健康な状態に近づけるだけでなく、飲食費や医療費などの出費を抑制でき、まさに一石二鳥です。

今日から少しずつ、この健康習慣を実践し、継続することで、薬を飲まなくても健康で過ごせるような患者さんが増えてくれれば、と思います。